完全受注で複雑形状の鋳物も製造
更新日: 2026年3月13日
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洲崎鋳鉃は、1929年に創業した96年の歴史を持つ老舗企業だ。「戦前の日本の重工業発展とともに鋳物の需要が増え、その波に乗って成長した」と洲﨑誠司社長は同社の歴史を語る。以来、鉄を素材とする鋳物の製造一筋。現在も手作業で砂型を作るなど、これまでと変わらぬ方法でロボット部品やポンプ部品、工作機械向け部品を中心に複雑形状の鋳物を完全受注で製造している。
完全受注生産ができるのは、創業以来改良を重ねながら使ってきたレーンで、高品質の鋳物を1つひとつ手作りで製造しているためだ。量産型の企業では採算の取れない小ロットの鋳物を、ニーズに合わせたかたちで高品質で製造することができ、顧客からの信頼は厚い。
その鋳造作業は特定技能外国人を含めた平均年齢38歳という若い社員たちが担っている。鋳物の運搬などの力仕事は機械化しているため、体力面での負担は少なく、集塵装置の設置などの環境対策も万全。男性職場と見られがちだった現場で、女性社員も活躍している。
職人技の継承に向け「現場社員たちへの教育が大事」と話す洲﨑社長。現在、1級技能検定に合格した技術者が5名在籍するなど同社には熟練技能を持つ社員が多いが、現場の若い社員への技術指導には、特に40年以上の現場経験を持つベテランの技術者たちが当たっている。マンツーマン教育だけでなく、外部講師を招いての勉強会も定期的に開催し、人材育成に力を入れる。
同社の強みの1つは短納期対応。最短で3日あれば納品ができるという。武器になっているのはバーコードの活用だ。社内システムを活用し、注文品を造形するごとにバーコードを読み取ることで、いつ何個を製造したのかを常に把握している。木型がどこにあるかも、このシステムで管理できる。そのため、おおよその納品日を顧客に、すぐに伝えることが可能。原料の鉄スクラップがすべて国内で調達できるのも強みである。
得意とするポンプ部品をはじめ、同社が製造する鋳物には、中が空洞になっているものが多い。鋳物の内部に空洞がある鋳物を製造するためには、中子と呼ばれる砂型が必要になる。その中子を多く使う鋳物は、請負を避けたがる業者が多いと言われるが、同社はこれまでに、中子8個以上を使用するなど、形状が複雑な鋳物を多く製造してきた。それだけの技術力がある。船舶部品に関して、英国のロイド船級やノルウェーのDNV船級といった認証を受けているのも、技術力の高さの証明だ。