品質追求をモットーに多彩なばねを製造
更新日: 2026年3月13日
2025
大貴工業は、ばねの設計・開発や製造を手がける専門メーカー。量産品から単品まで、あらゆる要請に対応できる体制を構築している。
自動車やガス栓・水栓の配管接合部を固定するホースバンドのほか、イス用ばねや洗濯ばさみのクリップなど、工業部品から生活用品向けまで幅広い製品を製造する。また、ピアノ線や硬鋼線、ステンレス、リン青銅、黄鋼、鉄など様々な材料を用いた生産が可能で、線材の太さは0.16~4㎜まで対応する。
一般的な巻きばねやねじりコイルばねはもちろん、フォーミング(曲げ加工部品)などの特殊形状製品の量産も得意とする。1/1,000度単位で曲げ角度などを調整できる多軸制御のばね成形機を複数台保有し、プログラムの改良や制御軸の増設などを独自に行うことで高精度かつ複雑形状の製品を生み出している。
高級車のダッシュボードの収納ボックス向けにばねを製作した際は、「10秒かけてゆっくり開く硬さのばねを作ってほしい」という難しい依頼に対応した。洗濯ばさみやハンガー用のクリップは濡れた洗濯物が落ちず、また、女性が使用するのに硬すぎないよう、バランスを考慮して製品設計や線材の選定を行う。
「最終製品を構成する1部品を受注するという考え方で、ものづくりをしていない」と話す大仲世紘社長。「製品の全体像を把握し、最適な形状・品質をデザインすることで顧客ニーズに応えるよう努めている」と続ける。この言葉に、同社の真摯な姿勢が集約されている。
大仲社長は、ばねメーカーの工場長を経て独立した。さらに、ねじなどの圧造加工で用いる金型製作の経験も持つ。現在、ばね成形機用金型も社内で製作し、生産時の品質や歩留まりなどに応じた金型の微調整も行っている。また、ばね成形機の製造プログラムや製品データなどを記録したレイアウトシートのほか、過去の製品サンプルもすべて保管しており、これらをもとに新たな製品の試作開発や量産化を進められるのも強みだ。
枕木とレールを締結するボルトナットに被せることで、振動によるナットの脱落を防止するクリップを、取引先と共同開発し、特許を取得。開発段階で線路の状況や点検方法などをヒアリングし、装着しやすさや現場作業者の安全性に配慮した形状を見出すために試作錯誤を繰り返した。現在は、鉄道分野での検証作業が続いているほか、送電用鉄塔など安全性が強く求められる現場での採用をめざす。