熟練技術で睡眠の質を高める布団作り
更新日: 2026年3月17日
2025
祖父の創業から100年を超え、綿わた布団の製造・販売を営むキムラ寝具店。2006年に店舗改装に伴い2階に工房を構え、"街の布団屋さん"として親しまれている。
同店では、寝具製作一級技能士の資格を有する職人が、綿布団や座布団の仕立てや打ち直し、羽毛布団のリフォームの診断も行っている。店舗では綿をはじめ羽毛や羊毛素材の布団、丸洗い可能な布団、座布団など幅広い商品を取り扱っている。
同店では、木邑代表夫妻が運営のすべてを担っている。代表は、東京蒲団技術学院(現在は閉校)で学んだ知識と経験に裏打ちされた確かな技術に加え、夫妻そろって寝具製作一級技能士の資格を有する。一級技能士は、検反や検尺、裁断、縫製、綿入れ、仕上げといった寝具製作に必要な全工程の技能を認定する国家資格であり、個人店に2名の有資格者が在籍する。
近年は健康志向を背景に睡眠への関心が高まり、家庭用寝具市場は拡大傾向にある。睡眠の質の改善によるQOLの向上などを目的に、個々の睡眠スタイルへマッチするパーソナライズ可能な寝具への注目が集まっている。そうした背景から、一品一様の布団を仕立てられる同店への依頼は絶えない。ユーザーが職人に直接相談し、体型やサイズ、重さなど好みに合わせて唯一無二の寝心地を作り上げる。街の睡眠コンシェルジュとして、現代人の眠りに寄り添うものづくりが続けられている。
布団は同じ材質や生地、縫い方でも、人によって肌触りや重さの感じ方に差がある。同店では、布団の丈、中綿の量などを細やかに提案し、利用者が納得できる一品を提供している。そのためには技術と知識の更新は欠かせず、一級技能士のみが出場できる技能グランプリへの出場や、大阪府寝具技能士会が実施する研修会に参加している。技能士同士が技術を高め合う場であり、その姿勢は作りてとしてのこだわりと熱意を示している。
2025年に開催された大阪・関西万博では、「ふとん作り教室」として、掛布団や敷布団、座布団などの製作実演と座布団作り体験を実施。2日間の実施期間に、製作実演の見学者は約400名、座布団作り体験へは約70名が参加し、盛況に終わった。布団や座布団文化が浸透していない海外からの来場者のみならず、若い世代へ向けても日本の寝具の魅力を発信する好機となった。