切削が困難なアルミを精密加工
更新日: 2026年3月13日
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マオチ工業は、主にアルミニウムを素材とする小物部品の精密切削加工を手がける。2022年に創業したばかりの若い会社だ。小杉尚司社長がそれまで勤めていた切削加工会社から独立して立ち上げた。アルミ部品の切削に試作から量産品、リピート品の完成に至るまで対応することで、顧客から信頼され親しまれている。
樹脂加工も一部手がけるが、小杉社長によると「99%はアルミ製品の加工」という。アルミは柔らかく傷がつきやすいため、取り扱いが難しく、難削材の1つにあげられる。しかし、逆に「アルミだからこそできることもある」と小杉社長は言う。蓄積したノウハウと技術があれば、顧客が要求するどのような形状にもできるアルミの特徴が生きるというわけだ。
小杉社長がかつて勤めていた企業は、樹脂加工を中心としていたが、小杉氏は社内で立ち上げたアルミの加工部門を任され、長年、切削加工に携わってきた経験と技術を持つ。同部門で小杉氏とともに10年以上アルミ切削加工に携わり、独立と同時にマオチ工業に移ってきた熟練の女性スタッフがいるのも強み。従業員数は3名と少ないが、少人数ならではの機動力で、他社がなかなか扱わない手のひらサイズの小物部品の微細加工を、試作から完成まで一貫して短納期で対応する。
他社が対応できなかった試作品の微細加工を、自社設計の治具を用いて実現。このように、現場の工夫と柔軟な対応力で高精度・高品質の切削加工に短納期で対応してきたため、顧客の信頼が厚く、リピート品の発注が多い。高精度の切削加工を行うために、切削油に水溶性のものを使う工夫も行っている。アルミは他の金属より熱変形が生じやすいが、冷却性能が高い水溶性の切削油を使うことで変形リスクを回避し、加工精度を高めている。後処理や機械の清掃が容易で、良いことづくめだ。
同社が加工するアルミ部品は、自動車や半導体製造装置、医療機器、航空機など用途が非常に多く、形状も多種多様だ。特に航空機メーカーなどは、曲がりなど寸法精度に対する要求が極端に厳しい。こうした要求に対し、同社は世界的シェアを誇るCAD/CAMソフト「Mastercam」を導入し、5軸のマシニングセンタと組み合わせることで対応している。高難度の3D加工では、顧客から受け取った図面をいかにCAD/CAMデータに落とし込みをするかによって決まると言ってよいが、ここでも前職での経験と技術が活きる。