ニッチ領域で技術力と世界初の開発力が光る老舗企業
更新日: 2026年3月13日
2025
エナテックは、鋳鉄やアルミを中心とした精密機械加工を得意とし、農業機械や建設機械、産業機械向けに幅広く部品を供給する。1919年創業の100年企業だが、そのルーツは戦国時代の鉄砲鍛冶「榎並屋勘左衛門」まで遡る。時代とともに事業内容を変遷しつつも、ものづくりにかける思いを守り続け、現在に至る。
1995年には電子機器製造工程向け装置の開発・製造を開始し、その延長で、2009年に基板の端面をコーティングすることで異物の発生を抑制するエッジコーティングシステムを開発し、世界初のシステムとして認知されている。
精密加工技術とシステム開発力を融合した独自の開発体制が強み。
前者を担う機械加工事業では、他社では敬遠されがちな鋳物やアルミなど複雑形状の量産加工に対応。治具設計と工程設計にかかるノウハウにより高精度に仕上げる。また、後者を担うMS事業部は1995年に設立。4辺の基板端面を均一にコーティングすることで異物の発生を防ぐエッジコーティングシステムは、国内外の有力メーカーに採用されている。そして、現在は、次世代型プリント基板とされるガラスコア基板の割れを防止するコーティング技術の開発に注力している。両事業部の連携により装置用部品の自社製作や工数削減に寄与する自動化設備の開発に至るなど、高い相乗効果を得ている。
さらに、医療機器関連事業にも取り組み、人工透析装置の排熱システムを開発。透析時に発生する排液の熱を回収・再利用することで高い省エネ効果を発揮する点が評価され、平成25年度省エネ大賞(省エネルギーセンター)で「審査員会特別賞」を受賞した。新規事業として成長を続けている。
鋳鉄やアルミダイカストなど鋳物材料の量産を得意としており、毎月800品に及ぶ一品一様の複雑形状に対応する。これを可能にしているのが治具設計力であり、それぞれの製品に対応する固有の治具を用意している。また、鋳物素材は一般公差が±1㎜程度あり、かつ図面のみでは設計意図を読み取れない要素が多く、量産加工に対応する治具の準備には数カ月程度を要する。同社では自社内で治具の設計・組立までを一貫して行うため、最短1週間程度で用意できる。
治具の一部は社外提供しており、複雑形状部品への対応など同様の課題を抱えるメーカーのものづくりにも貢献している。このように、同社の得意する技術は、新たな付加価値の創出につながっている。
MS事業部では、世界初のプリント基板エッジコーティングシステムをはじめ多数の特許を保有する。特にコーティング技術は、コーティング用ローラ形状や送り速度、液剤の物性など様々な条件設定により、一定品質で液剤を塗布できる環境を確立し、1μm単位での膜厚の管理を可能にしている。この基板用コーティング技術を保有しているのは、2025 年時点において世界で3社のみで、接触式コーティングを扱えるのは同社だけ。現場の課題解決を起点に、省力化・自動化を中心とした要素技術を体系的に発展させ、このような次世代の装置開発につなげている。