空気を扱う技術力と装置開発で3Rに貢献
更新日: 2026年3月13日
2025
辰巳エヤーエンジニアリングは、空気を媒体とした搬送・分離・回収・集塵を主軸に、各種装置や設備の開発・設計を手がける。紡績業界への販売からスタートし、製紙・衛生材・印刷業界を経て、現在は自動車部品業界へと販路拡大を図ってきた。近年は回収物を再資源化する設備開発にも注力し、PETボトルのリサイクル装置やシュレッダーくずの減容装置などを開発。空気を用いた高度な技術力で3R(Reduce・Reuse・Recycle)にかかる提案を行い、2010年代後半からのSDGsへの関心の高まりを背景に、その存在感を増している。
2025年に創業50周年を迎えた同社は、これまで一貫して空気を媒体とする装置の開発・設計を通じて空気を扱う独自技術を構築し、約80件の特許を取得している。2023年には新たなR&D施設として「AIR LABO(エアーラボ)」を開設し、その技術にさらに磨きをかけている。
AIR LABOは、3Rにかかる回収・分離が複雑化したこと受け、装置および設備の実証実験を即実施することを目的に設置した。施設内には同社の分離・回収設備があり、これを中心に計画設計を進め、必要に応じて他社製品・設備を組み合わせて実証実験を行う。顧客から提供された処理対象物を用いて実施し、装置や設備の組み合わせなどを変更したり改造したりして検証を行う。実証実験を通じて、新たな装置や設備の考案や新市場の開拓を目的とした装置開発につながっている。紙おむつからSAP(高吸水性樹脂)とパルプを分離する「SPC System(SAP・PULP回収設備)」や「インパクトブロワー(素材分離装置)」はその一例であり、同社の技術をより一層高度化する重要な施設となっている。
SPC Systemは、紙おむつの製造工程で発生するロス品を分解し、SAPとパルプを高純度で回収する設備であり、次のようなプロセスで回収処理を行う。まず、収集したロス品を、受入コンベヤから粗粉砕機へと投入し、粗く破砕・処理した後、解砕定量供給機で細かく解砕・定量搬送を行う。次に、分離機で外包材とパルプを高精度に分離し、外包材とSAP、パルプを各専用回収機で回収する。特に、二段式SAP回収機は高純度での吸収剤の回収が行える。そして、SAPを回収したパルプは、パルプ回収機にて搬送空気と分離して回収する。搬送空気はバグフィルターで微粉塵を除去し、設備内で再循環し清純化された排気となるため、環境に配慮した設備となっている。
インパクトブロワーは、繊維と樹脂を複合的に組み合わせた素材を分離・回収することができ、次のような工程で処理を行う。まず、衝撃ブロア装置により繊維を傷つけることなく樹脂層を剥離し、樹脂固形体を再利用可能な粒径まで粉砕する。次に、高圧ファンで吸引・搬送した素材を、のこぎり形の粉砕刃による多重衝撃で処理。そして、比重差を利用した空送分離工程と解繊工程を経て、繊維と樹脂を高精度に分離する。このような処理方法により樹脂の100%再利用を実現した。タイルカーペットやマット類、防音材や天井など自動車内装材の分離・回収が可能で、サーキュラーエコノミー対応の次世代型リサイクル設備となっている。